部活とハッピーぬか漬け

 

スイカの皮を漬けてもおいしいんだってね

 

おそらく青春と呼ばれる今の期間の多くの部分を、部活に費やしている。ひとつの生き方だと思いたい。好きに生きたらいいと言われたので好きに生きている。ワーイ。

部長になってから半年近く経ってしまったのかと思うと速すぎる気がするけれど、これまでを見てきた愛し子たちもいつの間にやら随分おおきくなった。今年迎え入れたばかりの子たちにも早速部員らしさの萌芽が見て取れることがとても嬉しい。安泰だ。

ああ愛し子たちよ、こんな老いた人間にかかずらわっている暇などきみたちにはない。などと言いながらニコニコしている。ニコニコしながらぬか床を掻き回していたら喉が渇いてきた。もう終わりかもしれない。若いきみたちの血でも飲んで元気になりたい。

 

女子校の演劇部員で男役を多く務める部長、というのがわたしである。

今現在は「オラに元気を分けてくれ」などと言おうもんなら光の速さで山盛りの元気をおすそ分けされてしまうような状況にいるわけで、そういう意味ではとても最高とてもハッピーな暮らしだろう。愛し子たちがそれぞれに幸せであってほしいと願う。わたしを先輩と呼んでいる時間も、そうでない時間も。

曲がりなりにも部長なので、未来について考えようと試みる。

まだまだ子供だね、と思うことも多い。それぞれにまだ幼さを残して、確かに彼女たちは育っていく。言えどもまだ荒く削られているばかりで、これから世間に散々揉まれなければならない。『これから』がある保障はどこにもないけれど、もしもなんの支障もなく、今『これから』と呼んだ未来が訪れたのならという話だ。

 

共にひとつの作品を創るために、日々練習をするしさまざまな方面で準備をする。ひとりでは完成しないものが好きだ。やっぱり誰かがいないとだめだと思える。ひとりで歩いていけると思ってしまわずに済む。

思い上がりを正しながら、いずれ閉じてしまう世界、10代のほんの一時のみ身を置くことを許された純粋な愛の巣窟に棲んでいるわたしたちだ。純粋も度を過ぎると屈折し出すものだということを気に留めながら。それでもまっすぐなにかを愛し、生きる者を美しいと思う。

アレだ。生きろ、そなたは美しい。というやつだ。若人たち、怒ったり泣いたりしたらいいよ。わたしが帰る場所になろう。煮出した麦茶できみたちを迎えよう。時には諭すし、きみたちの間違いを指摘することもあるだろう。しかしそれは、ただ甘く軽やかであるよりも幸せと言って差し支えない日々ではないかな。

ひとりじゃない、とは言わない。最後はひとりだ。人間はいつだってひとりでしかない。だからこそわたしがきみたちを、愛さなくなる日は来ない。

 

どんな生き方をしても誰に愛されても誰を愛しても漬物はおいしい。

簡単なことだ。だいたいのことは簡単で、簡単なものほど難解そうに見える。

そんなことはもう、いい。考えたくない。きゅうりを食べながら夜を過ごす。

若人の血は瑞々しく照り映えるだろうと思うよ。